Kentaro Hashizaka / Music Statement

音楽は、感情を設計する技術である。

ゲーム音楽、FM音源、90年代J-POP、ロック、プログラミング、AI。Syllable Music代表 橋坂健太郎が、音楽をどう聴き、どう作り、なぜ福島から届けるのかを記します。

Representative Producer K-Square Fukushima / AI Music Label

一音の奥に、人生の記憶がある。

私にとって音楽は、単なる娯楽ではありません。音楽は、ある時代の空気、場所の匂い、人生の温度を保存するメディアです。あるイントロを聴くだけで、子どもの頃の部屋、ゲーム機の前に座っていた時間、深夜にヘッドホンで聴いた曲、仕事帰りの車内の景色まで戻ってくることがあります。

Syllable Music という名前には、音楽をいちばん小さな単位から見つめ直したいという意志を込めています。音節は、ことばが旋律へ変わる最小の粒です。その一粒をどう置くかで、歌の意味、リズム、輪郭、記憶への残り方は変わります。

だから私は、AIで音楽を作る時も、単に「それらしい曲」を量産したいとは考えていません。音色、言葉、譜割り、曲名、アーティスト像、ジャケット、映像、権利管理、届け方まで含めて、ひとつの作品として責任を持つ。それがSyllable Musicの出発点です。

Roots

音楽観を作ったもの

懐かしさではなく、今の制作判断を支える基礎として。

01

ゲーム音楽は、制約の中で感情を立ち上げる技術だった。

ファミコンやスーパーファミコンの音楽は、少ない音数で場面、速度、緊張、勝利、寂しさまで描いていました。メロディだけでなく、ドラムの入り方、ベースの動き、短いループで飽きさせない構成に、音楽設計の原型を学びました。

02

FM音源とプログラミングは、音を作ることが設計であると教えてくれた。

X68000やC言語に触れた経験は、音楽を「感覚だけのもの」ではなく、構造を持ったものとして見る視点につながっています。音色も、リズムも、曲の展開も、設計できる。ただし最後に残るのは、設計を超えた感情です。

03

90年代J-POPは、強いフックと感情の奥行きを両立していた。

小室哲哉、TRF、Every Little Thing、浜崎あゆみ、LUNA SEA。強いメロディ、電子音、バンドの熱量、リバース感のある演出、歌詞の痛み。それらは今も、Syllable Musicの「聴きやすいのに残る」音作りに影響しています。

AIは、音楽を軽くするためではなく、まだ声になっていない感情に形を与えるために使う。

AI音楽に出会った時、最初に感じたのは「人間が不要になる」という恐怖ではありませんでした。むしろ、子どもの頃にMMLやFM音源で夢見ていたことが、まったく別の形で現実になったという感覚でした。テキストで音楽を設計する。言葉を通して音色や構成に近づいていく。これは、私にとって突然現れた魔法ではなく、長く続いてきた技術と音楽の交差点でした。

ただし、AIが作った音をそのまま作品とは呼びません。選ぶこと、削ること、並べ替えること、歌詞を整えること、アーティストの人格と矛盾しないかを見ること、公開する責任を持つこと。そこに人間の役割があります。AIが鳴らした音に、どの意味を与えるのか。それを決めるのは、Syllable Music代表としての私の仕事です。

既存のアーティストや作家への敬意も、ここで曖昧にしません。AIシンガーは人間の代用品ではありません。身体を持つ歌手、ライブで空気を変える演奏家、人生の経験を背負って歌うアーティストの価値は、AIによって消えるものではありません。Syllable Musicが目指すのは、音楽の席を奪うことではなく、音楽の場をもう一段広げることです。

Method

制作で大切にしている判断

速さよりも、曲として長く残るかを優先します。

Concept
曲を作る前に、誰が、どの季節に、どんな景色の中で、何を言えずにいるのかを決めます。曲調だけでなく、登場人物と時間の流れを置くことで、楽曲の判断軸を作ります。
Lyrics
歌詞は意味だけでなく、音節、母音、息継ぎ、フックの残り方を見ます。Syllable Musicという名前の通り、ことばが音になる瞬間を大切にします。
Sound
90年代J-POPの強いメロディ、ゲーム音楽の構造美、電子音の推進力、バンドサウンドの熱を、現代のAI制作環境で再構成します。懐古ではなく、今の曲として成立するかを見ます。
Artist
Honey Day Key、Think And Sence、Neonette、PRISMAURAなど、各アーティストには世界観と声の役割があります。曲が良くても、そのアーティストが歌う理由が弱ければ採用しません。
Responsibility
配信、放送、掲載、使用許諾の場面では、Syllable Musicが制作・管理主体として候補曲ごとに確認します。AI音楽だからこそ、楽曲の出所、権利、説明責任を明確にします。
From Fukushima

福島から、世界へ。けれど、足元を失わない。

福島に拠点を置くことは、Syllable Musicにとって単なる所在地ではありません。中央に出なければ作品を届けられない時代ではなくなりました。だからこそ、地方から世界へ出す音楽には、強い本人性が必要です。

福島の季節、郡山の生活感、車で移動する時間、朝と夕方のラジオ、地元の風景。その感覚は、Syllable Musicの楽曲の底にあります。世界配信を前提にしていても、どこで生まれた音なのかが失われないこと。そこに、独立系レーベルとしての意味があると考えています。

音楽は、巨大な産業であると同時に、ひとりの生活に寄り添うものです。通勤中に流れる一曲、夜にひとりで聴く一曲、ラジオから偶然届く一曲。その一曲が、その人の一日を少し変えるなら、音楽を作る意味は十分にあります。

Next Routes

この思想から、作品と確認へ。

音楽観、AI音楽への姿勢、権利確認、アーティストの世界を分けて読めるようにしています。

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